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2007年07月 First Descent

西穂高岳ピークハント   ケンタ

FD夏の陣も少しずつ形になりつつある。
冬に向けて体と共に意識も高める事ができる夏山ハイクは
自分にとってうってつけだ。


今回は北アルプスの一角、西穂高岳をFDメンバー3人で目指した。
当日の朝まで天気に悩み、いざ強行突破。岐阜を朝5時に出発する。
移動中に雨がぱらぱらとくる天気で温泉に入って帰るだけかと冗談を言いながら車を走らせ新穂高ロープウェイに到着。
飛騨地方は以外にも天気がよく、太陽が顔を出す好天気となっていた。
始発のロープウェイ


始発のロープウェイに乗り、8時50分くらいにハイクを開始。
向かいに見える笠ヶ岳~槍の間はまだ残雪が見えるが、
今から行く西穂方面に雪は見えない。
平地では梅雨の湿気と暑さにまいる時期だが、
標高2000mを超える北アルプスはさわやかな風が心地よく吹いている。
ハイク直後の笠ヶ岳


よく整備された樹林帯を抜け、ほどなく西穂山荘に到着。
西穂山荘は数少ない通年営業をしてもらえる山荘で、
自分は以前にもお世話になっている。
ここで小休止をしながらこれから行くルートなどを地形図で確認し、足早に出発する。
山荘付近から西穂方面


まず目指すは2701mの独標。山荘との標高差は300m。
距離も短くお手軽ハイクに持ってこいだ。
登山道も整備され、中高年者でも無理なく歩くことができるようになってる。

梅雨時だからか、始発のロープウェイに乗ったからかは分からないが、
同じルートを取る登山客は思いの他少ない。
振り返ると2~3人のパーティーがいくつか見えるのみで静かで快適な登山ができた。
振り返ると上高地から焼岳、笠、槍、穂高連邦の山々が綺麗に見える。
上高地と焼岳を望む


この日の天気予報は午後から崩れる事になっていた。
この時点では予想よりはるかに天候が良く、気持ちのいいハイクができた。
独標ではすでに笠は雲の中


最後の岩場の急登を登りきり独標に到着。時計を見ると10時50分ほどだ。
向かいの笠ヶ岳をみるとピークに雲がかかり始めている。
いつも昼になると雲が出てくるがこの日は昼前に雲が出てきた。
独標から先は12のピークが連なる岩場だ。天候が悪いとそれだけ危険度を増す。
その気持ちがどーしても体をはやらせ、独標で小休止の後、西穂岳に挑んだ。
独標直下の岩場

独標からの岩場の下り。いきなり難易度が上がる。
足を滑らせると急な谷にまっさかさまに落ちて行きそうだ。
1歩1歩確実に足を踏み出し前に進む。
北アルプスの山々

このときは冬以来感じたことのない感覚に襲われた。
あのスティープな斜面を見たときの恐怖感とそこを滑る事への期待、
失敗したときの対処ができるかという不安など・・・
いろいろな感情を一瞬で感じ、体内の血がたぎるのが分かる。
緊張から呼吸も荒くなる始末だ。
このなんとも言えない感覚は山特有のものかも知れない。
ピラミッドピークで一休み

ピークを4つか5つ超えたところで『ピラミッドピーク』とよばれる場所に着く。
名前のとおり綺麗な三角形をしているからこの名がついたと思われる。
ここで地形図を取り出し、西穂までの道を確認。
独標からまだ半分も来ていない。雑誌には中級と書いてあったが・・・
夏山経験はまだまだ半人前のFD夏の陣か。

岩場に苦戦

しかし、その先は傾斜が緩いのか目が慣れたのか、それほど過酷なところもなく
たんたんとハイクができた。問題は天候だけ。
さすがに昼近くになるとガスが空全体を覆いつくし、時折視界が100m以下までになる。
雨さえ降らなければいいが。そんなことを思いながらもくもくとピークを目指した。


いったい小さなピークをいくつ超えただろう。
そう考え出したときに西穂高岳と書かれたピークの標が見えた。
思わず声を出して喜ぶ。何にも変えがたい喜びの瞬間だ。
西穂高岳ピークにて


気にしていた天候もガスが出たり晴れたりを繰り返しているが、
風はほとんどなく安定している。雨も大丈夫そうだ。
岩場のごつごつした山と雲がおりなす幻想的な風景にしばし心を躍らせた。
西穂ピークからの風景


そこから先に目をやると国内最難関の道のりだ。
雲にかくれているジャンダルムはあきらかに危険度いっぱい。
まだ自分たちには技術的に無理。でも一度は制覇してみたいルートだ。
こうゆう目標ができるのも山の楽しさの1つではないかと自分は思う。
山頂でシャッターを切る



行動食を取り、ひととおりカメラのシャッターを切って下山開始。
下山は来た道を帰る。気持ちはハイク時と違って非常に軽い。
帰りは高山植物をカメラで撮りながらの下山となった。
高山植物1

高山植物2


そんな矢先、1羽の雷鳥とご対面。
雷鳥は人間を敵として認識していないらしく、近寄ってもまったく逃げない。
おそらく『なんだこいつら』って思ってるだけなんだろう。
雷鳥がいました


リーダーと共にカメラを取り出し、刺激を与えないようにじりじりと雷鳥に近づく。
最終的には50cmまで近づけた。なかなかここまで近づける機会はない。
笑いながらカメラのシャッターを切っていると、大変なことに気がついた。
夢中で雷鳥を撮る


雷鳥に気をとられる余り、下山ルートをはずれ、
めちゃくちゃやばい稜線上に立ち入ってしまった。
雷鳥のために新聞に載るのはごめんだ、
などと冗談を言いながら無事ルートに戻り、再び下山を開始。
下山途中も晴れ間はでてきました

独標まで戻ればこっちのもんだ。あとは西穂山荘経由でロープウェイまで歩くのみ。
最後の下山はさすがに足も疲れ、3人とも息があがっていたが、
15時40分に無事ロープウェイ到着。ハイクペースとしてはまずまずだった。
結局最後まで天候に恵まれ、絶好の山日和だった。
日頃の行いがええんやろうなぁ。
ナンちゃんは3人中1番苦戦


せっかくここまで来たので温泉でもと、川近くの深山荘というところで
日帰り温泉を存分に楽しみ帰路についた。
深山荘の温泉は気持ちよかった~


晩飯はいつものように岐阜市にある『ともだちや』で乾杯。
登りきった充実感で至福の一杯だったことは言うまでもない。
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[2007年07月10日]

奥穂高ピークに立つ HIRO

6月23・24日
梅雨前線が南に下がり天気は回復するようだが日曜はもう下り坂。
長野県南部では日曜の朝から、中部では昼から、北部では夕方までは持つだろうと微妙な予報で山に行くかどうか迷った。
残雪期に行ってみたいと思っていた穂高連峰直下の涸沢。
できれば3000mオーバーに登りたい。
でも、一泊二日しか時間がない。
上高地から二日間で3000mオーバーのピークを目指すとなるとかなりハードなスケジュールは覚悟しなければならない。
ガイドブックによれば標高3100mの北穂高岳なら涸沢から5時間で往復できると書いてあるので早朝4時にスタートしピークに7時に立てれば、その日のうちに十分に上高地発の最終バスに間に合う事ができそうだ。

FDメンバー三人で、岐阜を早朝3時半に出発。
東海北陸道をオービスにお世話にならないよう安全運転で午前5時半に平湯のバスターミナルに到着。
シャトルバスに乗り換え更に30分で上高地のバスターミナルに到着。
早朝の上高地は人影も疎らで昼間の観光客で溢れかえった喧騒はなく、静かでとても気持ちの良いスタートを切ることができた。
IMG_1696.jpg
(早朝の上高地)

上高地から、涸沢と槍ヶ岳方面への分岐地点となる横尾までは11km。
さらに宿泊予定の涸沢小屋までは6km。
気が狂いそうになる距離だ。
横尾まではほとんど標高が上がらず梓川沿いの平坦な道をひたすら歩く。
翌日の微妙な天気予報と梅雨の時期の為だろうか、途中の徳沢や横尾は人影もなく閑散としていた。
横尾から涸沢までの標高差は700m。
標高2100m辺りからは雪渓の上の歩行となりアイゼンを装着する事にした。
karasawa1
(標高2100m付近でアイゼン装着)

午後2時半、7時間掛かって涸沢小屋に到着。
さっそくテラスで持参した缶ビールと涸沢小屋名物のおでんで乾杯した。
小屋にはビールの自販機があり、持参したスーパードライは此処では500円。
500円で買えるなら何本も持ってこなければ良かった・・・。
IMG_1749.jpg
(涸沢小屋に到着)

小屋のスタッフに残雪の状況やルートを確認した結果、目指すピークを奥穂高に変更した。
時間的には30分ほど長くなるようだが、どうせなら北アルプスの最高峰のピークに立ってみたくなった。
時期の為か天気予報の為か自分達以外にお客さんがいない。
小屋の夕食時に自分たちの他に1人に出会ったが他にはいない。
夕食の後はする事もなく8時半には眠りに落ちていた。

翌朝は3時半に目が覚めた。
窓の外を眺めると涸沢を取り囲む3000m山々が月明かりを浴びて輝いていた。
IMG_1757.jpg
(朝焼けに染まる常念岳)

午前5時前、少し予定より出発が遅れてしまったが朝焼けに染まる穂高の山々を見ながら出発。
IMG_1760.jpg
(朝の太陽を浴びて輝く穂高連邦)

未だ涸沢一帯は多くの残雪に覆われているため通常のザイテングラードにルートを取らず、その左側の小豆沢の雪渓を穂高山荘に向かって直登する事にした。
平湯行きの最終バスに乗車するには午前11時には小屋を出発しなければならない。
雪面はそれほど固くはなくアイゼンの効きは良い。
100mを15分ピッチのペースでハイク。
IMG_1770.jpg
(穂高山荘到着)

穂高山荘上部の梯子とクサリ場も無事通過。
手を滑らせれば山荘の屋根まで落ちそうなスリリングな感覚と何とも言えない高度感がたまらない。
IMG_1807.jpg
(梯子と鎖場を通過)

危険地帯をパスして稜線上に上がると、ジャンダルムガが勇壮な姿を表した。
IMG_1777.jpg
(ジャンダルム)

奥穂高のピークの祠もはっきりと確認でき射程距離に入った。
午前8時、予定時刻に3190mのピーク到着。
誰も登って来る者もいない。
誰もいないピークからの景色は素晴らしく、涸沢と反対側の大正池の青い水面がはっきりと見える。
帰りの無事を祈り祠に賽銭を入れてみた。
同行者の六さんはケチって入れなかったが、これが後々後悔することになった。
IMG_1775.jpg
(奥穂高ピークより槍ヶ岳)

10分間の滞在の後、穂高山荘まで順調に下山。
山荘前でアイゼンを再び装着し小豆沢を下る。
上部は斜度があり慎重に降りる。
突然ドスの効いた聞きたくはなかった「おっさん」の悲鳴が背後から聞こえてきた。
振り返ると六さんが雪渓を滑落して今にもこちらに向かってこようとしている。
逃げるか止めるか一瞬悩み、逃げようかと心が揺らいだ瞬間、自らピッケルでその身を停止させた。
彼は、その後は気が動転したのか、まるでゴリラの様な中腰で残りの斜面を下りた。
ピークの祠で賽銭をケチるからだ・・・。

涸沢小屋まで標高差200m程の所で雨が降り始めた。
こんなに早く崩れるとは。
それでも午前9時45分に小屋に戻ることができた。
IMG_1816.jpg
(涸沢小屋を後に)

涸沢小屋で昼食の弁当を受け取り、小屋のスタッフの皆さんに挨拶をして大急ぎで帰路に着いた。
横尾まで1時間半の目標で下る。
雨で滑りやすく水溜りも登山道の随所にできて非常に歩きにくい。
横尾には予定より10分遅れで到着。
涸沢小屋の弁当を食べながら15分の休憩。
標高2300mの不便な場所で作ったとは思えない美味しい弁当のおかげで体力は多少回復した。
上高地までの残り11kmもがんばれそうだ。
雨の勢いは激しくなり、汗で濡れているのか雨で濡れているのか、分からないくらい不快になってきた。
歩いても歩いても前穂高から明神岳にかけての景色は一向に変わらない。
それでも横尾から2時間半でバスターミナルに到着。
平湯に戻り、「平湯・温泉の森」の露天風呂で冷え切った体を温め家路に着いた。




[2007年07月02日]